PyenvとAnacondaを用いたPython開発環境の構築

Pythonでの開発において、プロジェクトごとに異なるPythonのバージョンやライブラリを管理することは非常に重要です。本記事では、pyenvAnaconda を組み合わせて、柔軟かつ効率的なPython開発環境を構築する方法を解説します。

1. Homebrewのインストール

Homebrewとは

Homebrewは、macOS(およびLinux)向けのパッケージマネージャーです。コマンドラインから簡単にソフトウェアのインストール、更新、アンインストールを行うことができます。

インストール方法

  1. ターミナルを開きます。
  2. 以下のスクリプトを実行します。
    /bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
    
  3. インストールが完了し、Installation Successful と表示されたら完了です。

基本的な使い方

  • brew update: Homebrewのパッケージリストを更新します。
  • brew upgrade: インストール済みのパッケージを最新版にアップグレードします。
  • brew list: インストール済みのパッケージ一覧を表示します。
  • brew install [パッケージ名]: 指定したパッケージをインストールします。
  • brew uninstall [パッケージ名]: 指定したパッケージをアンインストールします。
  • brew info [パッケージ名]: 指定したパッケージの詳細情報を表示します。

2. pyenvのインストール

pyenvとは

pyenv は、複数のPythonバージョンをシステムにインストールし、プロジェクトやディレクトリごとに簡単に切り替えて使用できるPythonバージョン管理ツールです。これにより、異なるプロジェクトでPythonのバージョンが競合する問題を回避できます。

インストール方法

  1. Homebrewを使って pyenv をインストールします。

    brew install pyenv
    
  2. pyenv を使用するために、環境変数を設定し、シェルに pyenv の初期化スクリプトを読み込ませます。

    echo 'export PYENV_ROOT="$HOME/.pyenv"' >> ~/.bash_profile
    echo 'export PATH="$PYENV_ROOT/bin:$PATH"' >> ~/.bash_profile
    echo 'eval "$(pyenv init --path)"' >> ~/.bash_profile # `pyenv` の実行パスを環境変数に追加します。
    echo 'eval "$(pyenv init -)"' >> ~/.bash_profile # `pyenv` のコマンドを有効にするための初期化スクリプトを実行します。
    
    • ~/.bash_profile: Bashシェルが起動する際に自動的に読み込まれる設定ファイルです。
    • export PATH="...": 実行ファイルの検索パスに pyenv のバイナリディレクトリを追加します。
    • eval "$(pyenv init -)": pyenv のコマンドを有効にするための初期化スクリプトを実行します。

    注意: 使用しているシェルがZshの場合は ~/.zshrc に、Fishの場合は ~/.config/fish/config.fish に追記してください。変更を適用するには、ターミナルを再起動するか、source ~/.bash_profile (または該当する設定ファイル) を実行します。

3. Anacondaのインストール

Anacondaとは

Anacondaは、データサイエンスや機械学習に特化したPythonのディストリビューションです。Python本体に加えて、NumPy, pandas, scikit-learn, Jupyter Notebookなど、多くの科学計算ライブラリやツールが事前にパッケージ化されており、環境構築の手間を大幅に削減できます。

インストール方法

  1. pyenv を通じてインストール可能なAnacondaのバージョンを検索します。

    pyenv install -l | grep anaconda
    

    出力例:

    anaconda-1.4.0
    ...
    anaconda3-5.3.1
    ...
    

    grep コマンドは、パイプ | で渡された pyenv install -l の出力から「anaconda」という文字列を含む行をフィルタリングします。

  2. 最新のPython 3系に対応するAnacondaバージョン(例: anaconda3-5.3.1)をインストールします。

    pyenv install anaconda3-5.3.1
    

    インストールには時間がかかる場合があります。

  3. インストールしたAnaconda環境をグローバル(システム全体)で使用するように設定します。

    pyenv global anaconda3-5.3.1
    

    これで、ターミナルを開いた際にデフォルトでこのAnaconda環境が使用されるようになります。特定のプロジェクトでのみ使用したい場合は、そのディレクトリで pyenv local anaconda3-5.3.1 を実行します。

これらの手順で、pyenv によるPythonバージョン管理と、Anaconda による豊富なライブラリが統合された開発環境が構築されます。