本記事では、webpack と Babel を用いて、ReactとTypeScriptを使ったモダンなWebアプリケーション開発環境をゼロから構築する手順を解説します。
Webpackとは
Webpack は、JavaScriptアプリケーションのためのモジュールバンドラーです。複数のJavaScriptファイルやその他のアセット(CSS、画像など)を依存関係に基づいて解析し、ブラウザで実行可能な単一または複数のファイルにまとめます。
- 主な機能:
- モジュール解決:
importやrequireなどの構文を解釈し、依存関係を解決します。 - バンドル: 複数のファイルを一つにまとめます。
- トランスパイル: Babelなどのローダーと連携し、新しいJavaScript構文を古いブラウザでも動作するように変換します。
- 最適化: コードの圧縮、不要なコードの削除など、パフォーマンス向上のための最適化を行います。
- モジュール解決:
Babelとは
Babel は、JavaScriptのトランスコンパイラーです。主に、最新のJavaScript(ES2015+)で書かれたコードを、古いブラウザや実行環境でも動作する互換性のあるJavaScript(ES5など)に変換するために使用されます。
- 主な機能:
- 新しい構文の変換:
async/await, アロー関数、クラス構文などを変換します。 - JSXの変換: ReactのJSX構文を通常のJavaScriptに変換します。
- TypeScriptの変換: TypeScriptコードをJavaScriptに変換します(型チェックは行いません)。
- 新しい構文の変換:
環境構築
以下の記事を参考に、React/TypeScript開発環境を構築します。
必要なモジュールのインストール
プロジェクトディレクトリを作成し、npmで初期化します。
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ファイル構成
最終的なファイル構成は以下のようになります。
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各種設定ファイル
src/index.html
ReactアプリケーションのエントリポイントとなるHTMLファイルです。div 要素にReactコンポーネントがマウントされます。
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src/index.tsx
Reactアプリケーションのメインエントリファイルです。TypeScriptとJSXで記述されます。
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.babelrc
Babelの設定ファイルです。どのプリセット(プラグインのセット)を使用してコードを変換するかを定義します。
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package.json
プロジェクトのメタデータとスクリプト、依存関係を定義します。scripts セクションに開発サーバーの起動コマンドとビルドコマンドを追加します。
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tsconfig.json
TypeScriptのコンパイラ設定ファイルです。TypeScriptコードをJavaScriptに変換する際のルールを定義します。
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webpack.config.js
Webpackのバンドル設定ファイルです。エントリポイント、出力先、ローダー、プラグインなどを定義します。
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これらの設定ファイルが揃ったら、npm start で開発サーバーを起動し、npm run build で本番用のビルドを行うことができます。
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